ホール探訪を始めてみたいあなたへ

こんにちは。偏愛パチンコライターの栄華です。
私のSNS には、毎日色々な方からお便りが届きます。

まれに勧誘系のメールなんかも混ざってますが、ほとんどが 古いパチンコホール、パチンコ関連の書物 などに関する情報提供で、本当にいつも涙が出るほど感謝しております。

そんな中、たま~に寄せられるのが

「自分もホール探訪をしたり、地元の古いパチンコ店について調べてみたい。でも、何を取っ掛かりにすればいいのか分からない」

というお声です。

潜在的にどのぐらい「同好の士予備軍」がおられるのか想像もつきませんが、私としてはぜひ、臆することなくホール探訪の世界へ足を踏み入れて頂きたいです。そこで今回は、ホール探訪に関心を持ち、実際にアクションを起こされた方々 にお話をうかがってみました。

 

現役ホール編:たかちんさんの場合

お名前:たかちんさん(女性)
探訪歴:3年10ヶ月
活動エリア:関西地方を中心に、時には九州などへも

栄華(以下栄):もう3年10ヶ月も経ちましたか。

たかちんさん(以下た):まだ3年です。気分的に5年は探訪してるつもりでいましたが、まだペーペーでした。

栄:いやいや、それだけ充実してるってことですね。ところでたかちんさんは、探訪するホールをどうやって見定めておられるんですか?「目に入るホールを手あたり次第」という感じではないようですが。

た:ホール探訪を始める前から、スロットの特定日を調べて状況をよく見に行ってましたが、探訪を始めてからは パチンコホール検索サイトの使い方 が大きく変わりました。例えば「大阪市〇〇区」とか地域別にホール一覧を表示して、全てに目を通します。サイトに掲載されているホールの外観を見て訪ねたいホールを選ぶんです。外観写真が無いときはGoogleのストリートビューで確認します。

栄:どんな物件を見つけると「行きたい」と感じるんですか?

た:建物が古い、外観が面白い、賑やかなもの に興味を持ちますが、特に重視してるのが 電飾 です。ストリートビューで下調べをしていて、電飾の柱看板があるホールを発見すると一番興奮 します。例えばこういうのとか。

今まで撮影した中で一番好きな電飾看板

栄:うお~、ここは、既に閉業してしまった某ホール。ネオン点灯時の写真は貴重ですね。でもここ、たかちんさんがお住まいの地域からだと遠かったのでは?

た:はい。でも、探訪するのは主に仕事帰りか、他府県に外出する用事(旅や帰郷など)があったときです。ホール探訪だけを目的に外出することはないんですよ。

栄:お出かけの計画とうまく組み合わせて楽しんでいると。

た:目的地周辺のホールをあらかじめチェックして、到着後に時間があれば探訪するといった感じです。

栄:探訪へ行かれると、たかちんさんは撮った写真を全部といってよいぐらい私に送って下さいますよね。3年以上お写真を拝見してきて、明らかに探訪への熱量が増した瞬間 があった気がします。

た:そうですね。遡ってみて、熱量が変わったと思われるのは、九州へお墓参りに行った時に見つけたあるホールとの出会いからです。それまでは外観を中心に見ていましたが、ふと店内も見てみようと思ったんです。地域のお客さんに合わせた造りになっていて、トイレにハンガーがあったり、手すりが付けられていたりと配慮が感じられました。それ以降、地元の店や大型店舗でも店内を隅々まで見るようになったんです。

栄:この辺りの写真ですね…なるほど。お気持ち分かる気がします。

このホールを訪れて以降、店内にも興味を抱くように

栄:あと、お写真と一緒に送ってくださる、ホールの関連情報も楽しみなんです。たとえばその店について書かれたブログとか、廃ホールなら不動産サイトにアクセスして家賃や見取図なんかの物件情報 を添付してくださったり。

た:資料は、検索する時に一つのテーマから広げる感じで見つかる事が多いです。例えば、昔は駅の周辺や線路沿いにパチンコ店が沢山あった→じゃあ鉄道写真の中にホールが写り込んでるかもしれない→鉄道マニアの方のサイトを探そう、といった感じです。

栄:私は書籍から情報収集することが多いですが、ネットにも貴重な資料が色々落ちてるんですね。

不動産会社のサイトに廃ホールの賃貸情報が

栄:これからホール探訪を始めたいという方に何かアドバイスはありますか?

た:私が心がけていることは、「行きたいと思ったら即行動」「2回目があるとは限らない(いつ閉業するかわからない)」「事前調査し、効率のいいルートで回る」「情報の少ないお店は定休日、閉店時間を必ず検索」「ネット上に掲載されたホールの住所が間違っていることがあるので、ストリートビューできちんと確認」「電飾がある現役ホールは、夜の点灯時間を狙う」などですね。

栄:私が気を付けていることとだいたい同じです。しかしたかちんさんは、ふだん全くパチンコと関係のないお仕事をされてますよね。

た:はい。平日は朝6時に家を出て、帰宅は20時すぎの一般社会人です。

栄:撮影した写真をたまにTwitterに上げておられますが、基本的に私に送って下さる以外、誰かに見せるために撮っているわけではないですね?

た:なんのためにと言われれば、癒し の一つでもありますね。仕事の疲れを癒すために、仕事から帰宅したあとネオンを見に出かけることもあります。

栄:「パチンコ店のネオン」がいいんですね?

た:パチンコ店の電飾看板には思い出があるんです。幼少期、パチンコ店のすぐ裏に住んでました。夏の夜は近所の子供と遅くまで外で遊んでいて、22時にパチンコ店の電飾が消えると親から「電気が消えたからそろそろ解散」と言われて、看板を時計がわりに過ごしてたのを今でも覚えてます。

栄:思い出に背中を押されている部分もあるんですね…。これからも精力的な活動、期待しております!

 

廃ホール編:チャンプさんの場合

お名前:チャンプさん(男性)
探訪歴:1年8ヶ月
活動エリア:北海道 

栄:ホール探訪を始めたキッカケから教えてください。

チャンプさん(以下チ):2017年の8月半ば、ドライブ途中に「G店」という廃ホールを見つけて写真を撮りました。そこから1か月しないうちに、栄華さんのバンドがツアーで北海道に来るというので会場へ向かう途中、G店が解体されているところに出くわしたんです。現場の人に話しかけなかったことに後ろ髪をひかれながら ライブへ行き、栄華さんに初めて会って写真を見せたら、「この場所どうなってるんだろ」と遠い目をしていたのを覚えてます。

栄:わたし、遠い目をしましたか。G店には行ったことがなかったんですが、ちょっと有名なホールだったので気になって。

チ:ライブの次の日の朝、G店を訪れると、基礎部分のみになっていて、その一週間後には更地に。わずか1か月の間にこの一連の流れを撮れたのは、なかなかない偶然だと思いました。ライブを見に行かなければ解体現場に出くわすことはなかったし、栄華さんがこの場所に興味をもってくれたので次の日の状態も見たくなったし、さらに更地まで撮ることはなかったと思います。これがキッカケで、自分なりに探訪することになります。

廃ホール「G店」

 

G店が解体され、更地になる過程を撮影

栄:その後は 地元のパチンコ店の歴史 を調べる所からスタートされていましたね?

チ:はい、まず地元A市の 博物館 に行きました。古い地図や写真の中にパチンコ屋が写ってるかも、くらいの感じで訪れたら、地元の老舗ホールが創業した時の記録 が市史に残っているのを見つけました。

栄:そう、市史! 市史に記録が残ってたんですよね。珍しい例ですし、とても良い文章だったので私もその「A市史」購入してしまいました。あとは、古い商業地図 のような物も手に入れておられましたね?

チ:私の住むA市は昭和29年に市制施行されたんですが、その記念に発行された「市制記念明細地図」という物が、地元の新聞社でまだ販売されていたんです。

栄:新聞社で地図。そういう例もあるんだなあと勉強になりました。しかも、昭和29年というと、全国のパチンコ店の数が4万軒以上あったと言われている時代で、A市にもパチンコ店が複数あったことがわかる貴重な資料でしたね。

古い商業地図の一部分

チ:次に訪れたのが、地元からは少し離れたY市の博物館です。昭和30~40年代の駅前の写真資料の中にパチンコ屋が何枚も写り込んでいて、「すごいモノを見つけてしまった!」とドキドキしました。古い地図と照らし合わせて場所を確認したら、そこが今どうなっているのか気になったので足を運びました。昔の地図を見ながら、今も残っている近隣の商店や家の方に昔話を聞いたりもしました。

栄:もはや取材活動ですね。昔ホールがあった場所を見に行った時って、どんなことを感じるんですか?

チ:建物が残ってても無くなってても、昔の写真と同じ画角で写真を撮って、昔の賑わっていた頃、ネオンの光っていた時代を想像します。

栄:写真はもともとお好きだったんですか?

チ:興味はありましたが、ちゃんと撮ったことはありませんでした。趣味としては、パチンコさえ打てればそれでいい人間だったので。

栄:確かカメラを購入されてましたよね?

チ:はい、ホール探訪のために買いました。最近はミラーレス一眼も使い始めてます。

栄:なんと、素晴らしい!

購入した撮影機材

 

現役店のネオンなども撮影

 

解体中のホールに突撃して業者に撮影許可をもらうことも

栄:そこまでチャンプさんを惹きつけるホール探訪の魅力って一体なんでしょう?

チ:若い頃から古いパチンコ屋が好きで、換気扇から漂うヤニの香り、有線から流れる歌謡曲、玉の音、夜に輝くネオンにたまらなく魅了されていたんですが、こういう感覚を誰とも共有できずにいたんです。それが栄華さんに出会って、レトロなホールに対するツボが同じだったので衝撃を受けました。理解してくれる人が現れたことで、より魅力を感じるようになったと思います。

栄:チャンプさんを探訪に駆り立てる「ツボ」を刺激できたなら嬉しい限りです。最後に、これから探訪を始めたい方に何かアドバイスを。

チ:廃ホールを撮影する場合、近隣にお住まいの方の迷惑にならないよう心がけています。私の場合、なるべく単独で速やかに写真を撮ってその場から離れます。も近隣住民の方に会ったら挨拶したり、迷惑にならない程度に廃ホールのことを聞いたりできれば新しい情報が手に入ることもあります。

栄:すごく共感できます。新しいカメラで撮った写真や研究成果のご報告、楽しみにしてますね!

 

研究会発足へ

たかちんさんやチャンプさんの活動は、パチンコホールの「立地史」や「建物の変遷」などを研究する上でとても貴重です。全国の市町村のデータを資料化することは、私が余生をかけて取り組みたい作業のひとつですが、一人で成し遂げるにはあまりにも労力と時間がかかりそうなので、地域ごとの調査を分担できる方がいれば…という思いが常にありました。

資料を集めたり、撮影した写真や資料をアーカイブ化したり、取材したことを記録するためのフォーマットを作ったり…そういったことを手分けして行う研究会のようなものを発足するのが私の目標です。

まずは1年以内に、個人でホール探訪をしておられる方を募って、撮影した写真・集めた資料を披露しあう「研究発表会」のようなイベントを実現できたらと考えています。研究なんて言うと堅苦しく聞こえますが、要は「レトロなパチンコホールを好きな人が集まってその魅力を語り合う集い」みたいなもんです。

興味を抱いて下さる方がおられましたら、精力的なお二人の活動を参考に、「楽しい」と思えるアプローチの仕方でホール探訪を始めてみて下さい。質問などがあればおもちろん答えします。

 

WRITER 栄華

ライター

「パチンコの周辺文化」を探究するフリーライター。全国2200店以上のホールを訪ね歩き写真を撮影するほか、「パチンコ店のトイレ研究」や「パチンコ書籍の蒐集」など、他の追随を許さない独自の着眼点が注目されている。活動媒体は「パチンコ必勝ガイド」「パチンコ・パチスロTV!」など。