規則と内規の違いとは?専門家が内規について深掘りしてみた件

前回、前々回のコラムでは、主にぱちんこの規則についてお話をさせていただきました。

出玉率が規制されて、1回の遊技で獲得できる景品金額が5万円を下回るように設定されたというお話でした。

 

忘れちゃった方はもう一回記事をおさらいしてもらうとして、今回はそんな規則とは別の「内規」についてお話させていただきたいと思います。

 

規則と内規、その違いとは

ところで皆様は「規則」と「内規」の違いがわかりますか?

 

……。

 

…………。

 

もしかしたら業界歴の長い社員さんでも、あやふやに覚えてしまっているかもしれません。この機会にしっかりと覚えてくださいね。

 

 

規則:ざっくりと言えば「法律」の一種です。

内規:ぱちんこメーカー団体日工組(にっこうそ)による「自主的な」決め事、守り事です。

 

違いがわかりましたでしょうか?何となくですか?それでも大丈夫です。

規則と内規、どちらも守らなければならないものですが…ピンときた人もいるかもしれませんね。

 

「規則は実質法律みたいなものだから守らなければならないけど、内規って日工組での決め事なのだから、日工組に入らなければ守る必要ないんじゃないの?」

 

惜しい!

実は、半分正解で半分間違いです。

 

日工組加盟メーカーは、2018年10月現在36社ありますが、この36社以外から世の中にリリースされたぱちんこ台は倒産した会社を除き、未だかつてありません。

以前は日工組に非加盟で保通協を適合させたぱちんこ開発メーカーは複数ありましたが、そのいずれの会社も後に全て日工組に加盟しています。

 

ぱちんこは多くの部品や多くの規則、多くの特許など様々な技術や知識を集結させて1つの台を作り上げるのですが、日工組に加盟しているメーカーと、それ以外のメーカーでは圧倒的に知識や技術が不足してしまうのです。

日工組加盟メーカーは全社で知識や知恵を共有しているため、非加盟は圧倒的に不利なのです。

現実的には、日工組には入らざるを得ない訳ですね。

 

規則があるのに、さらになぜ内規があるの?

「『規則』があるのに、なぜさらに日工組で『内規』を作って守らなければならないの?」という疑問が湧いてきませんか?

実は「規則」とは法律の一種なので大枠の内容は記載されていますが、細かい内容等に関してはフワッとしているわけです。

その大枠の内容を日工組加盟メーカーで話し合いをし、その意図に沿って作り上げた決まりこそが「内規」と思ってもらえれば問題無いと思います。

規則>内規、と表現できるでしょう。

「小遣いは月にいくらまで!」と決めるお父さん、コレが規則。

「使い道でコレとコレはダメよ!」と詳細を詰めるお母さん、コレが内規。

そんなイメージでしょうか。

 

そのため、内規の目的のところにはこのような一文があったりします。

本内規は「のめり込み」対策として著しく射幸心をそそるおそれのあるぱちんこ遊技機の開発・製造・販売を行うことがないよう、仕様内容を規定する。

日工組内規 仕様について より抜粋

 

内規の内容とは?

では次に、内規の主な内容についてみてみましょう。

 

・遊技機の種類ごとに以下の基本記号を型式名の最初に付与する。

「P」ぱちんこ遊技機

「R」アレンジボール遊技機

「J」じやん球遊技機

・スタート(始動口)の賞球数は、4個以上とする

・確率変動(確変)の継続率は65%以下とする

・大当り確率は、1/320よりも大きいものとする

 

前々回のコラムで書いた型式名は実は「内規」により定められているものだったのです。その他にも、継続率65%規制や、スタート賞球4個以上や、大当り確率1/320以上という、射幸心を大きく抑制する内容の殆どは「内規」によって決められているものです。

 

ぱちんこを長くやっている人、ぱちんこ業界で長くお勤めの人は昔を思い返してみてください。

前回2004年の規則改正後に、SANKYOの大ヤマトで1/500のスペックがOKになりましたね。しかしその後は2018年まで規則改正は1回も行われていません。

 

すなわち、確率も確変継続率もヘソの賞球数なども、全て日工組による「内規」によって定められたものだったのです!

 

ただし、内規を決める際には日工組の代表者が必ず警察へ報告に行った後に最終決定します。

内規とは自主性を目的とした取り決めなので、どんな内規の素案が報告されたとしても警察は絶対に「ダメ」とは言いませんが、規則に沿っている内規か?などの確認はしますし、それについての意見は話します。

それについてどう感じるかは日工組の方々の感想といったものでしょう(笑)

 

絶対的な管理者の方から「それはダメではないけど、私たちの意見としては規則に合っていないと思うのだがどう?もう一度みんなで考えた方が良いのではないか?」と言われたら、皆さんはどうされますか?(笑)

 

もしかして、もしかする?

ここで勘の良い方は、もうお気づきになったと思います。

 

規則を変えるのはもの凄く時間もかかりますし、何より「大義名分」が必要となります。今回の規則改正は、「ギャンブル等依存症対策」を目的としたのめりこみ対策です。

そのため、少なくともギャンブル等依存症対策が万全とならなければ、この規則は「変えてはならない」のです。

 

しかしながら、内規は別です。

内規は日工組がその話し合いの上で、著しく射幸心がそそるおそれのないようなぱちんこ遊技機の開発・製造・販売が可能なのであれば、警察に相談の上自らの力で変えることは可能なのです。

 

業界情報に詳しい方なら耳にしたことがあるかもしれませんが、少し前にある内規が撤廃されるのでは?という噂が出回りました。

詳細な説明は避けますが、これは「内規」だからこそ出てきた噂なのだと思われます。

 

実際のところ、内規が本決定すれば、必ず「通知」があります。

それが無いということは、未だその段階ではないということでしょう。(このコラムを書いているのが、2018年9月中旬なので、この先どうなっているのかはわかりません)

 

内規とは「自分たちの身を守る」ともいえる自主的な守り事

内規とは自主的なルールです。自分たちの事だけを考えて好き勝手することもやろうと思えばやれるのかもしれません。

ただしそこは自己責任であり、大問題に発展する可能性も秘めています。

 

逆に、自律的にルールを守れるのであれば、多少のお目こぼしがあってもおかしくありませんし、万が一何か大きなトラブルになりそうなことがあったとしても業界一丸で対応をすれば、素早く沈静化し、次の手を考えることも可能なわけです。

 

それは、日工組のぱちんこ開発だけではなく業界全体の大きな問題ともいえるかもしれませんね。

WRITER 荒井 孝太

遊技機開発会社社長

株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業・開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。