パチンコの内規について動きが活発だから、プロがいち早くそしてわかりやすく解説してみたよ。

平成30年2月に新規則になって1年ちょっとが経ちました。新しい規則というのは警察もメーカーもどちらも慣れない中での手探り状態だったりするのですが、1年ほど経つと徐々に適応できてくるものです。

そうすると「新しい規則になって落ち着いてきたし、そろそろ内規も変更しようか?」という空気感になってくるものだったりします(笑)

規則と内規の違い

規則と内規の違いは、昨年の10月に寄稿させていただきました。

皆さん、覚えていますでしょうか?

忘れた方や前のコラムを見てないよ。という方は、この機会に前のコラムも見てくださいね。

参考記事:規則と内規の違いとは?専門家が内規について深掘りしてみた件

 

通常時のベースと賞球数についての内規

今年の3月20日に、通常時のベースと賞球数の内規(ルールが)撤廃となりました。

詳しくは下記の通りです。

 

【ベース】

通常時のベース 30以上

 

【賞球】

主に始動口(スタート) 4個以上
主に電チュー 1個以上
主にその他入賞口 3個以上

 

今年の5月1日以降の保通協への申請分より撤廃になり上記の制限がなくなります。

賞球数について勘違いしてはいけないこと

ここで勘違いしてはいけないのは、玉が入賞すると書いて「賞球」です。賞球は規則的に「当り」を意味します。実際に規則で賞球について下記のように書かれています。

遊技球の獲得が入賞口への入賞以外でなされてはならない

遊技機の型式に関する技術上の規格より抜粋

玉を獲得するということは入賞口へ入賞すること以外では無理だよ。と書かれていますね。

 

大当りはどうなの?という疑問がでるかもしれませんが、実は大当りした後に開くアタッカーは、規則では「大入賞口」と呼ばれています。また、入賞口で獲得できる玉は、1入賞につき15個までと規則で決められています。

 

裏を返せば、入賞するということは玉を獲得しないといけないよ!と読むことができるわけですね。なので、内規では賞球数のルールは無くなりましたが、規則では入賞口のルールは、1個~15個までと決まっています。

 

<おさらい>

既存の賞球数のルール

  • 内規 ・・・ 制限なし
  • 規則 ・・・ 1個~15個まで

 

5月1日以降のルール

全ての入賞口の賞球数は、1個~15個までの範囲であれば自由に設定できる。

 

通常時のベース30が無くなったということは、売上アップのチャンスなのか?

平成28年8月5日保通協申請分より、日工組はヘソ賞球4個以上、通常ベース30以上という内規を制定しました。そのため、初代北斗無双など一部の台を除き、今現在ホールに設置されている台のほとんどの台が通常ベース30以上として制作されたぱちんこ機となります。

その通常時のベース30内規が撤廃されるということで、通常時のベースが下がり同じ1/319の機械だったとしても従来機よりも売上が立つのでは?と考えるホールの皆さん、そんなことはありませんからね(笑)

 

平成30年2月に行われた規則改正によって、規則として1時間あたりの出玉率の下限が33%と設定されました。この出玉率は、保通協型式試験の実射試験にてどの1時間を切り取ったとしても出玉率が33%を下回ってはいけない。と規定されています。

 

例えば、下記のようなスペックを元に計算してみます。

低確率:1/319

スタート:5.5

このような機械の場合、1時間で回すことができる回転数は330回転です。そのうち、1回も大当りしない可能性は約35.5%にものぼります。保通協の実射試験は、合計5台を使用し1日10時間を3日間続けます。

この3日間の全ての台、どの1時間を切り取ったとしても出玉率33%以上なければならない。というのは、通常ベースを33%以上にするしか方法はありません。(上記のようなスペックの場合、ベースが33%未満での適合確率はほぼ0%です)

 

初当たりし易い羽モノタイプやちょいパチタイプなどはベースが33%未満でも大当りが頻繁に発生するので、適合確率は高くなると思いますが、ライトミドル以上のスペックはほぼ不可能と思って間違いありません。

要するに、内規では通常ベース30が撤廃されましたが大元の規則に変わりが無い以上、基本的にベース値は今までと変わらない。という認識でいてくださいね。

 

賞球とベースの内規撤廃でできることは何なの?

賞球数の制限が無くなるので、今までよりも多種多様な遊技機の開発が可能となります。

例えばですが、以前電チューの賞球数が3個以上から1個以上に制限が緩和された後、大一商会から加速装置というメチャクチャ消化が早い電チューが登場しました。

開発者にとって、制限が緩和されるというのは新しい仕様を生み出すチャンスなのです。

 

今回の内規を受けて、簡単に思いつきそうなところでいうと、

ヘソ賞球を1個にして、通常時8個保留で通常時の変動秒数をメチャクチャ短くして、1,000円で100回スタートが回るスペックとかも作ることができますね。

その他入賞口を1個にして、ヘソに絡まない玉は全てその他入賞口に吸い込まれるようなゲージ構成にすることも可能ですよね。

誰でも思いつきそうなレベルでも、こんな感じのものを考えることができます。制限が緩和されるということは、遊技性・ゲーム性の幅が広がるということなのです。

他にもあるよ、ROM容量上限内規の撤廃

平成24年1月という、今から7年以上も前に適用された「演出表示に使用するデータ用ロムの記憶容量」の内規が撤廃されることになりました。

【ROM容量】

演出表示器に使うロム容量

64Gb(8GB)まで

この内容も今年の5月1日の保通協への申請分より撤廃になり、制限がなくなります。

 

64Gb(8GB)ってイマドキの高校生くらいなら1週間ぐらいでパケット通信で容量使い切ってしまいますよね(笑)

 

DVD1枚のデータ容量が4.7GB、ブルーレイが25GBと言われていますが、ぱちんこ機の演出データはこの7年強、DVD2枚弱と同等の容量で作られていました。ちなみに、演出データなので、音とかランプのデータもこの容量の中に収めないといけません。

ROM容量撤廃でぱちんこ機はどうなるの?

簡単にいえば、液晶が今までより綺麗になります。

今までは、容量に制限があったため、現在のぱちんこにおける平均的な演出ボリュームは、全部元々の素材と同じクオリティで実装することができませんでした。要するに折角作った映像を圧縮して実装しなければならなかったのです。

これは、7年前に比べて下記の点が変わったからです。

 

  • 液晶サイズの大型化

⇒液晶に表示するサイズが大きくなればなるほど、データは大きくなります

  • 複数枚液晶搭載ぱちんこ機の登場

⇒表示する液晶が増えると、当然データは増加します

  • 演出ボリュームの増加

⇒7年前と比べて、演出量が圧倒的に増えています(ざっくり2倍から3倍近く増えた)

  • CGクオリティの向上

⇒ぱちんこ機に使うCGのクオリティ(解像度)が以前に比べ向上しています

以上のように、昔に比べてぱちんこ機の状況が大きく変わったのです。それに伴って、もはや64Gbという制限は、ぱちんこ機開発にとって足かせになってきました。

 

容量が増えることで最終的に機械代が高くなるのでは?

ロム容量の上限がなくなることで、機械代を値上げする口実になるのでは?という噂がありました。もしかしたら、メーカーは容量撤廃にかこつけて、便乗値上げするかもしれません(笑)

ただ、開発的な目線でいえば、開発費はむしろ削減になります。

 

その理由は、

  • 映像圧縮を考えることなく、作った映像をそのままROMに入れることができるので、開発スピードが上がり、その結果、開発コスト削減となる
  • 今現在、64Gbという世間で使用されないROMよりも、128Gbや256Gb等の容量が大きいROMの方が、値段が安くなっている
  • 容量が大幅にアップすることで、圧縮性能が高い基板を使わず、メーカーのリユース品を使って機種開発することにより基板代を削減できる

以上のように、開発費の削減が可能となるわけです。

 

ただし、今までよりも高クオリティの映像が沢山いれることができるし、今までよりも演出量を沢山増やすことができる。という点で、高性能で非常に高価な3DCGを制作したり、演出量を爆発的に増やすといった開発を行う可能性はゼロではないとは思いますが、昨今のメーカー経営事情を考えると、その可能性はかなり低そうです。

 

賞球にしてもベースにしても演出ロムにしても、今年の5月保通協申請分より今までと違う内規の台を持ち込むことが可能となります。どれも小さな変化ですが、今まで制限されていて実現できなかったことの制限が無くなることで今までに無い機械を開発することが可能になりますので、今年の夏以降、新しくて面白い機械が沢山出てくることを皆さんで待ちわびましょう。

 

WRITER 荒井 孝太

遊技機開発会社社長

株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業・開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。