パチンコ縛りの一人旅 ~熱海編(前編)

こんにちは。偏愛パチンコライターの栄華です。
今回は、  をテーマにした新企画です!

私が旅をするんですから、当然のことながら「パチンコ縛り」はマストです。と言っても、旅打ちの場面はほぼありません。「打たずにどーやってパチンコで縛るんじゃい」という疑問はごもっともですが、ご心配には及びません。「東洋のナポリ」と呼ばれるあの名勝地を、1泊2日の間パチンコでガチガチに縛り上げる偏愛パチンコライターの独擅場をご堪能ください。

パチンコ縛りの一人旅・熱海編 のスタートです。

~1日目~

15:20 熱海駅到着

熱海を訪れるのは今回が7回目。初訪問の1994年はバブル崩壊のあおりで寂れた印象でした。当時、雑誌に取り上げられるようなリゾートホテルで高級フレンチを食す行為を「旅」だと思っていた私は、熱海での訪問地も「大月ホテル」(現在の「HOTEL MICURAS」)の中にあるフランス料理店のみでした。大月ホテルといえば大正14年創業の老舗ホテルで、25年前の94年ならレトロな内外装がいろいろ残っていたはずです。一応当時のアルバムを探してみましたが、大月ホテル含め、熱海の建物の写真は1枚も残っていませんでした。

これは別のホテルの写真

 

「熱海っていいかも」と、ようやく目覚めたのが2度目に訪れた2006年。既に必勝ガイドで仕事をしていて、古いパチンコホールにもカメラを向けていました。

熱海スターレーンも現役でした

このホールについては後編で触れます

2008年 母と旅行
2010年 ここからホール探訪が目的になる
2013年 団体旅行のついでに探訪
2015年 3度目のホール探訪

駅前にあった間欠泉

ここ数年は駅ビルがキレイになったり、ブシューッと3分に一度温泉を吹き上げていた駅前間欠泉がなくなるなど、レトロな風情が失われてゆくのかな…なんて身勝手な寂しさを感じたりしてたんですが、

 


2019年!

あれ。なんか、全然大丈夫というか、


キレイになってるけど古い物の味わいは残ってるし、寂れ感が薄れて活気が増したぶん、栄えていた往時への妄想を逆に膨ませやすいくてイイ感じです。

 

16:00 今夜の宿へ

さてパチンコ縛りの旅、まずはお宿にチェックインです。予約を入れていたのはこちら。

ゲストハウス「MARUYA」
住所:熱海市銀座町7-8

 

熱海復活の中心地とも言われる「熱海銀座商店街」で2015年にオープンしたゲストハウスです。今回、旅先を熱海にしたのはここに泊まることが大きな目的でした。というのも、知人から「パチンコ店をリノベーションしたゲストハウス」だと教えてもらったからです。

しかし!

実はですね。わたくし、全国2300ヶ所ものパチンコ店・ホール転用物件を訪ね歩き、熱海にはこれまで6度も足を運んだにも関わらず、ここが元パチンコ店だったとは全く知りませんでした。ですので失礼な話、知人からの情報も「ひょっとして間違いでは」と少し疑っていたんです。もし間違いなら、潔く「パチンコ縛りの一人旅・熱海編」はお蔵入りにする覚悟で宿のスタッフさんに突撃したところ、

「そうです、元パチンコ店です」

と、アッサリ事実であることが判明しました(情報を下さったTさんに土下座!)。取材を続行できる嬉しさの反面、パチンコホール偏愛家としてはかなりショックです。何度も熱海銀座商店街を訪れながら完全に見落としていたわけですから…。

「外観にパチンコ店らしい痕跡は残ってなかったんですよね…?」

「いえ、看板の跡が残ってましたよ」

「えっ」

「確か写真があったはず…」

 


ゲストハウスMARUYAさんが、この記事のために提供して下さった貴重な写真です。“PARLOR SKY HALL” という看板の跡がクッキリ残っていますね。吊看板にも「パチンコスカイホール」の文字が見えます。閉業時期はハッキリ判明しなかったのですが、ガラスに貼ってあるこのポスターに注目しました。

超拡大につき画像モヤモヤ

遊技文化史研究家でライターの 神保美佳先輩 にお聞きしたところ、左下の文字が「全日遊連(全日本遊技事業協同組合連合会)」のロゴに似ており、おそらく「イエローキャンペーン」のポスターではないかとのこと。イエローキャンペーンとは、「安心・安全なパチンコ店営業の徹底」をアピールすることを目的に1996年から行われていて、人物の服装やキャッチコピーなどから98年頃のポスターっぽいとのことです。って、こんなモヤモヤの画像でそこまでわかる神保先輩恐るべし!

MARUYAさんによると撮影は2015年だそうで、見ているうちに自分への怒りが沸々とこみ上げてきました。これを見落としていたとは、私の目は一体なんのために付いてるんでしょう!

怒りとショックに打ちひしがれ挙動不審ぎみな私に、宿の方はとても親切にして下さいました。急な取材依頼だったにもかかわらず、快く撮影・掲載許可を下さったのです。

 

では、パチンコ店「スカイホール」が、どんな風にゲストハウスに転生したのか見てゆきましょう。

まずは、先ほどの写真で “PARLOR SKY HALL” の看板があった部分。

この通り木の板で塞がれてしまいましたが、板の下には元の壁面が残っていて、シャッターもホール時代の流用なのがわかります。


入ってすぐの部分はカフェ&バーとチェックインカウンター。ゲストハウスの顔とも言える部分ですので、しっかり手が加えられてすごくお洒落ですね。


壁は基本的に白いペンキを塗っただけだそうで、こういう柱を見ると妄想スイッチが入り、パチンコホールの店内アナウンスや玉音の喧騒が聞こえてくるようです。


続いて、宿泊者専用のエリアへ。


客室へと続く廊下の左側は、キッチンもあるラウンジスペース。改装時、パチンコの島設備を撤去したあとの床がデコボコだったので、コンクリートを流し込んで平らにする工法を選んだそうです。つまり、床にはまったくホール時代の痕跡がないわけですね。


客室前の踊り場の天井には、一部ペンキを塗り残している箇所があって、私はここがとても気に入ってしまいました。


一か所だけ突き出たパイプ。何のパーツだったんでしょう。このへんを一目で判断できないところがまだまだ素人です。勉強します。


客室エリアはボックス状に区切られ、床も壁も天井も新しく作られたものです。しかし、さすがは商店街のパチンコホール。間口は小さいですが奥行きが長いですね。どこらへんまで遊技スペースだったのかなあ…。


つきあたりは洗面&ランドリーペースなんですが、この奥に素敵なものがありました。


岩の壁です。宿の方いわく、昭和時代にこういう壁を店舗装飾に使うのが流行っていた時期があったらしいとのこと。確かに幼い頃、レストランや浴場なんかで見た記憶がありますし、今でも古い飲食店のエントランスとかに残ってますよね。この部分はパチンコ店時代のままだそうです。

ちなみに、MARUYAさんの公式サイトから閲覧できる過去のブログより「リノベ日記」というテーマの記事を古いものから順に読んでいくと、パチンコ店の建物がゲストハウスへと生まれ変わってゆく様子を見ることができます。写真が鮮明で、パチンコホール偏愛家としてはこれで2~3日は恍惚タイムに突入できそうなほど見ごたえがあります。

MARUYAさんの過去のブログから「リノベ日記」

 

16:20 散策

チェックインを済ませて、熱海の町を散策することに。もちろん町歩きもパチンコ縛りです。まずは、今日の夕食はここでと決めているレストランが宿のすぐ側にあるので下見。


ふむふむ、仕込み中ですか。和食・中華・洋食・丼もの、いろいろありますね。夜のオープンは何時からかな。


あっ。
夜、やってない!
しまった、確認不足でした。これは予定を変更するしかありません。


明日ランチを頂くことが決定したここは「味よし屋」さんというお店。外観を見てピンと来ましたか? はい、元パチンコ店です。パチンコ店→飲食店への転用はけっこうよくありますが、けっこう広そうな店なので、空間をどう活用しているのか、ホールの残存具合も気になります。

 


続いてスマートボール店の「ゆしま遊技場」へ。昔はパチンコも打てたそうですが、現在はスマートボールと射的のみ。なぜか私はこの店に嫌われているようで、熱海を訪れるたびに行ってみるのですがいつも開いていないんです。今回こそは! と意気込んで訪ねたところ…


臨時休業のお知らせ。
ちなみにこの日は4月9日。なんか怖いほど受け入れてもらえません。しかも店舗改装ということは、内装など新しいものに変わってしまうんでしょうかね。

 

続いて現役ホール。


熱海のパチンコホールと言えばこのゴリラさんを思い出す方もけっこうおられるんじゃないでしょうか。両手に山盛りの玉箱を持ってますが、箱のサイズ感が昭和っぽいです。


パチンコ店の看板オブジェをこんなにアップで見る機会もないでしょう? 玉にフラッシュ電球が仕込まれていて、ピカピカッ、キラキラッと玉が輝いて見えます。

ラッセン風の壁画が印象的なパチンコ店の立体駐車場。


よく見ると「SUNLIGHT」というホールは現在無く(別の店名になっている)、いわゆる「置き去り看板」です。(置き去り看板についてはこの記事を参照のこと

 


ここはホール跡です。閉業後も数年外装が残っていましたが、完全に撤去されました。次に来た時は何か別のお店になっているかもしれません。

この建物のホール時代の写真がこちら(2010年撮影)。

建物へのイタズラ防止のため店名は伏せました。この記事を参考に熱海に出かける方は(いるのか?)町をたくさん歩いて見つけてみてください。

 

私がこれまで熱海で撮った写真の中で、特に好きなのがこれです。

2013年撮影。狭い路地で見つけた、とても味のある袖看板です。壁の質感や配管やガチャガチャした電線が狙い澄ましたように頽廃的でカッコよく、この看板を引き立てていました。今は当時と違うホールになっていますが、まだ残っているのでしょうか。

 

ああ…。

さようなら、大好きだった袖看板。思い出のよすがに、この看板が現役だった頃のホールの写真をお目にかけます。

 

せっかく熱海に来たので、一応こんな風景も撮りました。

しかし夕暮れの浜辺を見ても、「家族連れで賑わう昭和40年代の熱海サンビーチ…。子供たちは海水浴で遊び疲れ、このあとは大人の時間。歓楽街の店々に灯が点り、パチンコ店には身動きも取れないほどのお客があふれて…」なんていう空想ばかり浮かんできます。

 


さてお待たせしました、実戦です。と言っても2円パチンコの『天龍』を1000円だけですが。どうしても見たいネオンがあったので、点灯待ちの時間つぶしでした。パチンコライターの記事っぽい箇所を作るため、なんとなく実戦データ載せときますね。

1000円(500玉打ち込み)で
飛び込み21個
上段 4/21
中段 1/4
下段 0/1
収支 -1000円

 


点灯したところを見たかったのはこのネオンサインでしたが、結局点きませんでした。「チ」だけ他の文字と色が違つたようで、どんな色なのか楽しみにしてたんですが残念。でもまあ、よくあることです。

…それにしても、そろそろお腹が空いてきました。

 

19:00 夕食

夕食を頂くはずだった「味よし屋」さんに行けなくなったので、急きょ別のパチンコ縛りの食事場所を見つけなくてはいけません。


町を歩いていると、こんな看板たちがおいでおいでと誘惑してきますが、パチンコと無関係な場所で腹を満たすなどもってのほかです。

 


迷った挙句、ここに決めました。創業72年の洋食レストラン。

向かいがパチンコ店で、ゆしま遊技場の並びにあります。お店のホームページを見ると「カレーレストラン」と表記されていました。カレーは注文してから出てくるまでが早いので、きっとパチンコ店のお客さんも休憩の時に利用しただろうというのが選択の理由です。取材許可を頂いてないので外観写真のみですが、海鮮を欲していた舌をも満足させる深いコクのカレーでした。

 

20:00 宿へ戻る

MARUYAさんに戻り、ラウンジスペースでコーヒーを飲みつつ原稿を書いたりしながらゆっくり過ごします。ここが昔パチンコ店だったんだなあ…と思うと不思議な安心感を覚えます。


この天井、ちょっとホールっぽいでしょう? まあ実を言うと当時の天井板は撤去されてるんですが、こうしてじーっと天井を眺めたあと視線を下におろすと、なんだか島の配置が浮かび上がって見えてくるような気するから不思議です。


これがシングルカプセル上段のお部屋。赤いフクロウ柄の壁紙がかわいい。ビジネス街のカプセルホテルより広くて、身長154cmの私が腰をかがめることなく直立できるタッパがありました。

 

布団に横たわって見た景色

私は荒れ果てたパチンコ店の廃墟を見ると「怖い」と感じます。でも、古びていてもちゃんと管理された物件や、こうして転用され立派に生まれ変わった建物からは優しい呼吸しか感じません。人の手が入って大切にされると建物も穏やかになるのかなと思います。ホールは金銭をめぐるドス黒い感情が渦巻く場所なので、心情的に受け入れがたいと感じる方もいそうですが、私は閉業後のホールを終の棲家にするのが夢です。一泊4000円ほどで夢の老後を疑似体験できました。

明日も濃密なパチンコ縛りの旅が待っています。

(後半に続く)

 

WRITER 栄華

ライター

「パチンコの周辺文化」を探究するフリーライター。全国2200店以上のホールを訪ね歩き写真を撮影するほか、「パチンコ店のトイレ研究」や「パチンコ書籍の蒐集」など、他の追随を許さない独自の着眼点が注目されている。活動媒体は「パチンコ必勝ガイド」「パチンコ・パチスロTV!」など。